前立腺のエコー診断

経腹エコーによる前立腺癌の診断

血清PSA値の上昇で経腹エコーの検査依頼をしばしば受けることがありますが、経腹エコーによる前立腺癌の否定は困難です。

エコー検査を行うのであれば、経直腸プローブを用いたelastographyや針生検が有用とされています。

侵襲の低い検査であれば、腹部用コイルを用いたMRI(拡散強調画像など)があります。また、経直腸コイルを用いればさらなる診断精度の向上が見込めます。MRI spectroscopy(MRS)といった特殊な検査も有用性が高いという報告があります。

したがって、経腹エコーで観察できるのは前立腺のサイズ計測と排尿後の残尿のチェックメインとなりますが、前立腺肥大症の診断には、簡便で有用な検査だと思われます。

前立腺肥大症の検査方法

基本、蓄尿した状態で行います。

まず、前立腺の形態を観察し、3方向のサイズ計測を行います。

頻尿の場合、膀胱炎の可能性もありますので、膀胱も観察します。

その後、排尿してもらい、残尿をチェックします。

前立腺の体積および残尿体積の簡易計算法を下記に示します。

画像引用:前立腺肥大症 診療ガイドライン

前立腺肥大症の診断基準

前立腺の断面サイズとしては、左右径35 ミリメートル (mm)、前後径20mm、上下径25mm程度が正常上限とされています。

また、前立腺容積としては20 ミリリットル (mL) 未満が正常または軽症とされる。20mL < 前立腺体積 < 50mL は中等症、50mL 以上で重症とされています。

また、排尿後の残尿量ですが、明らかなエビデンスはありませんが,過活動膀胱診療ガイドラインでは 50 mL を超える場合には泌尿器科専門医への紹介を推奨しています。

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